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2026.01.28

デジタル技術を活用した検査工程の効率化  ~生成AIとクラウド技術で実現する生産性向上~

 当社は樹脂原料販売や成形品事業を中心に、お客様の多様なニーズにお応えするソリューションを提供しております。今回は、協力工場との連携により実施したデジタル化プロジェクトについてご紹介いたします。製造現場における人手不足や効率化の課題に対し、最新のデジタル技術を活用することで、どのように生産性向上を実現したかをご紹介いたします。

 

・背景と課題

当社では、あるプロジェクトにおいて製品品質の確認を依頼されました。協力工場にてCNC加工機により個別に製作されたプラスチック製品について、精密測定と検査成績書の発行を担当することになりました。お客様からの品質要求に応えるため、各製品の精度確認が必須となっており、従来の検査方法では以下のような課題に直面しておりました:

 

測定作業の負担:工場内のデジタル精密測定機を使用しているものの、図面の指示に従って一つひとつ手動で測定する必要があり、膨大な時間を要していました。

 

データ入力の手間:測定した数値を検査シートに手入力する作業が発生し、人的ミスのリスクも懸念されていました。

 

全体工程の長時間化:測定から記録まで、全体として非常に長い時間がかかっており、このままでは生産性の観点から課題が残る状況でした。

このような従来の煩雑で時間のかかる検査プロセスを、より効率的で正確な方法に改善する必要性を感じ、デジタル化プロジェクトに着手しました。

 

・デジタル化による解決アプローチ

この課題を解決するため、当社は二段階のデジタル化プロジェクトを実施しました。

 

第一段階:3次元測定機の自動測定プログラム開発

公的支援機関の技術支援を受け、ミツトヨ社製3次元測定機の測定プログラムを開発しました。これにより、従来手動で行っていた測定作業を自動化し、測定プロセスそのものの効率化を実現しました。公的機関の専門的な知見を活用することで、高精度かつ効率的な測定システムを構築することができました。

 

第二段階:検査成績書自動発行システムの構築

ミツトヨ社製3次元測定機は測定データをテキストファイル形式で出力しますが、このデータは単なる数値の羅列であり、そのままでは検査成績書として活用できません。そこで、測定機から出力されたテキストファイルから必要なデータを抽出し、検査シートの適切なセルに自動的に配置するアプリケーションを開発しました。

 

システムの処理フローは以下の通りです:

  1. ミツトヨ測定機から出力されたテキストファイルをデータベースに格納
  2. ブラウザ上で動作するアプリケーションがデータベースから必要なデータを取得
  3. 取得したデータを検査シートの指定されたセルに正確に配置
  4. 検査成績書として自動生成

このアプリケーションの開発には生成AI技術を活用し、開発期間の大幅な短縮を実現しました。さらに、クラウドストレージサービスやバックエンドサーバーなどのデジタルインフラストラクチャを整備することで、システム全体の安定稼働を確保しています。

 

・プロジェクトの成果

このデジタル化プロジェクトにより、以下の具体的な成果を達成しました:

 

作業時間の劇的な短縮:従来数日を要していた検査工程が、わずか数時間で完了するようになりました。これにより、納期の大幅な短縮が可能となり、お客様への迅速な対応が実現しています。

 

ヒューマンエラーの完全排除:測定データが直接検査シートに反映されるため、転記ミスや入力ミスといった人的ミスがゼロになりました。データの信頼性が大幅に向上し、品質保証体制が強化されています。

 

品質管理の向上:自動化により一貫した測定精度を維持し、お客様への品質保証がより確実になりました。

 

人的リソースの最適化:検査工程の自動化により、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになりました。

 

・プロジェクトから得られた示唆

このプロジェクトを通じて、以下のような可能性が見えてまいりました:

デジタル技術による課題解決:特に人手不足が深刻化する製造現場において、デジタル技術を活用することで、限られた人的リソースでも高品質な業務遂行が可能になります。

 

技術の民主化:生成AIやクラウドサービスなどの新技術は、従来は大企業にしかできなかったシステム開発を、中小企業でも実現可能にしています。当社のような規模の企業でも、最新技術を活用することで大きな効率化を達成できることが実証されました。

 

公的支援機関との連携:公的支援機関との協力により、専門的な技術課題も効率的に解決することができました。公的支援を積極的に活用することで、当社のような規模の小さい企業でも現場ニーズに即したデジタル化を実現することができました。

 

・今後に向けて

今回のプロジェクトでは、従来の手作業中心の検査プロセスを、デジタル技術を活用した効率的なシステムへと刷新することができました。当社では、この経験で得られた知見を活かし、さらなる業務効率化とデジタル化を推進してまいります。

製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)は、必ずしも大規模な投資や専門的な知識だけで実現するものではありません。公的支援機関との連携、最新技術の積極的活用、そして現場の課題を明確に捉えることで、実効性の高いデジタル化が可能と考えます。

今後も、お客様のニーズにお応えするための取り組みを継続してまいります。