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2026.09.08

3Dプリンタ型×卓上射出成形機による試作成形の実証 ~小ロット試作における新しいアプローチ~

当社は樹脂原料販売や成形品事業を中心に、お客様の多様なニーズにお応えするソリューションを提供しております。今回は、株式会社システムクリエイト様のご協力のもと実施した、「3Dプリンタ製の型」と「卓上射出成形機」を組み合わせた試作成形の検証についてご紹介いたします。設計開発段階における小ロット・スポット的な試作ニーズに対し、どのようなアプローチが可能かを探る取り組みです。

 

・背景と課題

 

射出成形品を製作する際、金型・成形機はいずれも量産を前提に最適化されています。手のひらサイズの部品であっても、量産用の金型は50cm角程度の大きさになり、成形機も床に据え付ける重量設備となるのが一般的です。量産する分には合理的な仕組みですが、「形状確認のためにまず数個だけ欲しい」という試作段階では、量産と同等の準備・コストがそのままかかってしまうという課題がありました。

 

これまで少量の試作品を用意する方法としては、主に次の2つが用いられてきました。

 

切削加工:樹脂ブロックから削り出す方法。確実に形状を再現できる一方、1個ずつ加工するため時間がかかり、形状によっては加工自体が難しい場合もあります。

 

3Dプリンタ造形:スピーディーに形状化できる一方、あくまで「かたち」の再現にとどまり、実際の成形品とは強度・耐久性が異なるため、実装評価には不向きなケースもあります。

 

「早く」かつ「実際の成形品に近い」ものを用意する手段は、これまで十分ではなかったように感じています。

 

・今回ご紹介の事例の特徴

 

今回は特に立ち上げのスピードを上げるため、次の2点を工夫して検証を行いました。

 

型を3Dプリンタで製作:金属切削ではなく3Dプリンタで型(キャビティ・コアのインサート)を製作。

 

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 [画像:3Dプリンタ製インサートをモールドベースに固定した様子]

 

卓上サイズの射出成形機を使用:量産用ではなく卓上サイズの射出成形機を使用。いわゆるハンドプレスのような機械ではなく、樹脂ペレットをスクリューで加熱・可塑化して型に射出するという、通常の射出成形機と同様の基本機構を備えた卓上機を使用しました。型替えもクレーン等を使った重量物の運搬は不要で、多少の手間はかかりますが手作業の範囲で行える点も特徴です。

 

実際の工程としては、モールドベースに3Dプリンタ製のインサートをボルトで固定し、そのまま射出成形機にセットして成形するという流れになります。

 

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[画像:型を卓上射出成形機にセットした様子]

 

・成果と見えてきた課題

 

3Dプリンタ製の樹脂型は、金属製の型に比べると耐久性が低く、冷却にも通常より時間がかかります。今回はさらに難易度を上げ、アンダーカット形状に対応するスライド機構も含めてすべてのパーツを3Dプリンタで製作し、成形を行いました。

 

アンダーカット形状の成形に成功:スライド機構を含む3Dプリンタ製の型で、数個程度のサンプルを取得できました。

 

離型に関する課題:今回使用した成形機にはエジェクタ機構も備わっていましたが、工程の簡略化とスピードを優先し、あえて使わずに手作業で成形品を取り出す方法を試しました。その結果、成形品がコア側のインサートに張り付きやすく、良品として取り出せたサンプル数は限られたものになりました。

 

寸法精度:型締めの力が通常の射出成形機に比べて弱いため、寸法は狙いよりもやや小さくなる傾向がみられました。機構部品など精密な寸法管理が必要な部品については、現状の手法では対応が難しい可能性があります。また、連続成形時の安定性についても、今後確認していきたい点です。

 

・使用材料について

 

今回の検証で使用したのはポリエチレン(PE)です。現時点で相性が良さそうな材料としては、PEに加えて、PPやABS等が候補になると考えています。

 

・今後に向けて

 

どこまでの精度で成形できるか、1つの3Dプリンタ製インサートで何ショット程度もつのか、といった点は現時点でまだ検証途中です。今回は一般公開が可能な事例として本ブログにてご紹介をいたしました。今後も条件を変えながらケーススタディを重ねていきたいと思います。

 

量産金型を起こすほどの数量ではないものの、3Dプリンタや手加工では実際の成形品に近い形での検証が難しい——そうした設計開発段階でのラボ検証や、工場での小ロット試作といった場面において、今回のような手法が一つの選択肢になり得るのではないかと考えております。